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療育の科学 [自閉症資料4]

2018年ソニーの新戦略。AIBOの満を持しての発売だ。新聞記事を見ても気にも留まらない。






妻がチラッと記事を見て「なんでこんなの売るの」

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なんでったって、
1.高価である  一目で値段が分かるから、他人に見せつける事が出来る。
         俺はこんなロクで無い物にもポンと金を出せるぐらい稼いでるぞと、
         分からせる事が出来る。
2.珍しい    小型でマイクロチップ内蔵で精密な動きをする。
         その微妙な動き方が面白く珍しい。買えるアミューズメントか?
3.アクセサリー 自分は時代の先端を行っていると周りに示す為のアクセサリーのひとつ。






私は、知能の高い元積極奇異群の自閉症だから、乏しい「想像力」では無理なので、社会構造や、
人間の心理構造から考えるとこの程度しか思いつかない。






しかし、なんでこんなモンを買うんだ?他にもばかばかしい癒やしロボットがあるぐらいだから、
恐らく大多数の「正常な人」はこんなモノにも「共感」するんだろう。






私にも「共感」するという所までは分かる。






しかし、どう「共感」するか。何に「共感」するか。「共感」してどんな感じになるか。それって
何なんだと言う感じで、「共感」の語彙は分かっても、その中身と言うか実態と言うか、この
「もやもやってあるそのもの」の事、感覚は分からない。






自閉症の診断を受けた子供や若者が「私には分かる」と言うかもしれない。私も、若い頃は字義通り
理解し、分かったつもりで居た。今、人生の中で「正常な人」の行動様子を見ていると、本当には
分かっていなかった事を思い知る。






「正常な人」は「正常な人」である。ヒトとして存在しているからAIBOに共感し、そこに「人間性」
を本当に見てしまうんだろう。






AIBOを自閉症児、自閉症者に置き換えてみる。






AIBOに共感する能力を持ってすれば、自閉症児、自閉症者にすら簡単に共感出来てしまう。






問題はこの部分にある。ウタ・フリス、ローナ・ウイング、トニー・アトウッド、他医学者、研究者が、
自閉症、アスペルガー症候群は「想像力の障害」で共感出来ないと証明したのにも関わらず、






医者を含む多くの関係者が、自閉症、発達障害に「共感」し、「共感」する事で
「理解」した気になり、自閉症発達障害の気持ちを代弁し、それを満足させる「療育」を施す。






彼らが施す「療育」は、
「もし、自分が自閉症だったら、こうしてほしい、こうだと効果があると想像した療育






自閉症と明確な診断を受けた子供に10年実験的に施した結果成功率50%。
そのうち、その後10年の追跡調査の結果、被検者の幸福率100%。

と言う様な科学的なモノでは無い事を、子供たちを差し出す親は知っているのだろうか。






そして、そんな療育をせっせと推進している一人がこの人だ。



【自閉症テレビ17】アスペルガー薬と療育


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自閉症 理屈はどうよ [自閉症資料4]

すでに紹介済みだが、19世紀の本なのに非常に意味ある内容の「アヴェロンの野生児」。医者が長期間
自閉症児と寝食を共にした観察日記。観察者が何十年も一緒に生活をしながら観察した記述は、
現在でも無いね。クララ・パークの自閉症の娘との四十年の記録ぐらいかな。だから、その内容に
重みがあるんだな。






そして、レオ・カナーが論文を書き、ハンス・アスペルガーが論文を書いた。ほぼ同じ時期に、全く
別の場所で書いたのが不思議だ。






その二つの論文に橋を渡し見事に証明してみせたのが、ローナ・ウイング。この人が、
謎の障害自閉症を「自閉症スペクトル」として論理的に解明したんだ。






ローナ・ウイングの本は、副題に「親と専門家のためのガイドブック」とある様に、本当に自閉症の
子供の事を思うのなら、この本を、分かるまで何年も掛け、何十回と読み返し何か壁に当たったら
もう一度アドバイスを得る事が出来る本だ。






他の本を読むよりも、この本をひたすら深く読み進んだ方がイイ。私も、初めに買った本はバラバラに
なりそうなので、2冊目を確保している。






人によっては自閉症について理論的な部分も知っておきたい人が居るだろう。研究者であれば当然だ。
専門医では無い精神科医や、自称発達障害専門家は孫引きのネット情報を勝手に解釈している可能性が
あるから、きちんとした論文を自分で読んで解釈した方が間違い無い。






その一番初めにそろえ読むべき書籍は、今日紹介するウタ・フリスの「自閉症とアスペルガー症候群」
東京書籍だ。

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この本は、今では全員大御所になってしまった執筆陣、フリスであり、ハッペであり、ウイングなどの
論文集によって構成されていて、全ての論文に齟齬が無い。当たり前の話なんだけどみんなまともな話。






日本の「創価学会発文科省風発達障害」の療育周辺に居る人たちの珍妙な論文、理論とは
次元が違う。






読んでも読んでもキリが無いぐらい面白い論文集。もちろん、自閉症の子供と同じで、そう易々とは
分からないので、ガンガン読み込んで下さい。我が家ではこの本も2冊目が待機しています。






昔専門書は清水の舞台から飛び降りる気持ちで買った。そこで買わなきゃ今度いつ会えるか分からない。
まして、中古本なんか神田へ行っても手に入るか分からなかったが、今はAmazon。特殊な専門書
でも、中古で、それもほとんど読んでいない中古本が手に入る。その辺にあるハンドブックでは
ハンドブック程度の情報しか手に入らない。やはり、まともな情報は、まともな書籍から。






子供のためでしょ!

お金のある人は新本で、そうで無い人はそれなりに買って下さい。



【自閉症テレビ11】コレで診断テスト?


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オウムはヒト? [自閉症資料4]

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自閉症と言っても成長する。






例えば、言葉を話すと言う事だって、極端に遅れるにしても、脳内では確実に成長しある日その回路が
つながり機能すれば突然話し出す






最終的に「正常な人」としてのコミュニケーション能力まで達しなくても、言葉を話すと言う所までは
成長した訳だ。






言葉を発すると言う行為は、純然たる運動能力。オウムや九官鳥の様に人の言葉に近い鳴き声の鳥も
いれば人の言葉には全く近づかないウグイスの様な鳥もいる。






まず横隔膜で呼吸、息の出し方をコントロールする。ノドの筋肉を動かす事を覚えると音が出る。
口の形を変えると音が変化する。その運動能力を得る。
そして、「オウム返し」で、言葉に該当する言葉に聞こえる音を出せる様になる。
これは、運動能力だ。ハイハイをしたり、たって歩くのと同じ運動能力の練習であり技術の獲得だ。






老人に指先の運動をさせる。運動をさせるのがボケ防止になるのだと言う。父は50才前からアルツハイ
マーの症状が出始めたが、極端に指先のコントロールが利かなかった。

指先を動かさないからボケたのか。アルツハイマーになると指先がコントロール出来ないのか。

私は後者だと考えるが、まことしやかに指先の運動を薦める






自閉症の子供が出来て、言葉が他の子より後れだしたとき、焦るのも分かるし、少しでも早く話せる
様にしたいのも分かる。ずっと話さない事で、話す機能が錆び付いて使えなくなるのでは無いかと言う
恐れも分かる。






しかし、身体が出来上がらないうちに、カーブを投げられる様に叩き込んだ所でプロ野球選手になれる
訳では無い。子供が話すには、話す準備、脳内の成長が整って初めて話し始めるのである。






辰吉丈一郎は5才になって初めて話したと自分で言っていた。初めて言葉が出たときの事を強烈に
覚えているのであろう。






脳みそは20才まで成長し続けるそうだ。私を含む自閉症の仲間はなぜか老けない。脳内に発達の障害
を抱えている代わりに、脳の老化が進みにくいのでは無いか。






早期療育にヤッキになるのもイイがこんな先輩が居る事を覚えていて欲しい。



【自閉症テレビ32】言葉って何?


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農業の育成実験と療育の違い [自閉症資料4]

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最近、私の愛読書は農文協の現代農業だ。農業はすべての科学の集大成とも言える分野で、学位を
持たなくても、実際により収穫を、より味を良くした者勝ちだ。






その誇れる果実を受け取るには、たゆまぬ研究と実験、さらにそこに経営と言う要素まで絡んでくる
奥の深い事業だ。作物の事だけを考えるなら、同じ苗を違う条件環境で育て、最も適切な生育環境を
導き出せば良いのだ。






それに比べると、教育で食っている学者や、療育商売に励んでいる連中は本当に楽天家だ。






なんたって同じ子供は絶対二人といない。だから、療育を施して良くなりましたと宣伝に使えるし、
療育を施していないから全然進歩していません、とも宣伝できる。






療育を施さなかったから伸び伸びのんびり育ったと証明出来ないし、もしあの時療育を施して
おいたら、今頃普通に学校に通えた、とも証明出来ない。療育が子供に対してどんな結果をもたらすか
は誰にも分からないのだ。






親としては、それは分かってる。分かってるけど不安だからやっぱり療育に賭けてみる。って所かな。






自閉症では無い知恵遅れの子に療育という刺激を与え続け、一時的にストレスを感じても、彼らには
忘れる能力がある。忘れるって言うのは、人間にとって最も重要な能力なんだ。痛みだって忘れるから
痛くなくなる。






しかし、自閉症児は忘れる能力を持たない障害なんだな。療育による刺激が、良く作用すれば結構
だが、万が一悪く作用したらどうなるか。リペンタントママの所のカナー君の様になってしまう。






それこそが賭け、ギャンブルだ。






では、全く療育を施さなかったらどうなるか。2000年より前は療育なんてなかったし(注:雨後の筍
の様に大量発生した療育商売)19世紀のアヴェロンの野生児ヴィクトールの例もある。

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概略はこうだ。






19世紀1800年フランスの森の中で裸同然で暮らしている子供が捕まった。12-3才と言われている。
5年前にも目撃例があり近くの住民の話を総合すると、4-5才の時に捨てられたのでは無いかと言う。
今で言うカナー型の子供で、捕まったときは言葉もしゃべらず激しく抵抗した。






盲学校で引き取り育てる事になり、そこの管理人のゲラン夫妻に世話をされた。2度目に逃げ出した頃、
ヴィクトールが世話を受けて3-4年16-7才の頃か。その時のエピソードを読んでみて欲しい。






同じ頃、ゲラン夫人の主人が病気になり、校外で診察を受ける事になりましたが、ヴィクトールは
それを知らされませんでした。






彼は自分の手伝い仕事の一つとして、夕食時になると食卓の用意をすることになっていましたので、
ゲラン氏の分も相変わらず置き続けました。毎日その分は片付けられましたが、
翌日になると、きまって彼はまた並べるのです。






病状が悪化し、ゲラン氏は病没されました。氏が亡くなった当日も、氏の食器が食卓に置かれました。
そうしたことが、ゲラン夫人にどれほど胸が張り裂ける思いをさせたか、{私には}手にとるように
わかります。






この悲痛な場面を目撃して、ヴィクトールは、その原因が自分にあることを悟りました。






自分のおこないがまずかったと考えただけなのか、夫人の絶望の動機まで見抜いて自分のしたことが
どれほど無駄で場ちがいものかを悟ったのか、とにかく彼は自分から食器を片付け、悲しそうに
それを戸棚にしまい込み、二度と再び並べはしませんでした。






本当の自閉症の子供を知っている人なら、今カナー型の子供と一緒に生活している人が、この一文を
読んで何を感じるか






この本を読んだ事もあろう療育関係者からは、こんな一文がある、とか、こんな凄い話があるとか、
一度も見た事も聞いた事も無い。






私ならゲラン夫人の様に愛情を持って注意深く事故に遭わない様に育てる事に専念する。19世紀の
ヴィクトールでさえ、数年でこんなに成長したのだ。



【自閉症テレビ17】アスペルガーと療育


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バラバラ [自閉症資料4]

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昨日話したヴィクトールのエピソード。皆さん何も感じませんか?






逆に言えば何も感じないのがまともで、私たちが自閉症の当事者だから身につまされるのかも
知れません。






かつて私たち夫婦は二人とも社会の中で現実に仕事をしていました。毎日が必死で、家へ帰ると本当に
クタクタ。無我夢中の毎日でどうやって暮らしていたか殆ど覚えていません。






そんな生活の中で、不思議に感じた事、釈然としなかった事と言うのは、いつまでも頭の片隅に残り、
考え続けている様です。






そして、ある日、「ああ、そう言う事だったのか」と突然理解出来ます。
それは、バラバラのジグソーパズルが、突然集合して完成する様な感じです。






テレビドラマを見ていて突然ひらめき、「あのさー、かくかくしかじかで、・・・のとき、
・・・だったんだよ。 今、テレビ見ていてようやく分かったよ」






妻に同意を求めると、妻も何かがひらめいたらしくアヴェロンの野生児を持って来てページを
開きました。






「ほら、ココココ。読んでみて」






「同じ頃、ゲラン夫人の主人が病気になり、校外で診察を受ける事になりましたが、ヴィクトールは
それを知らされませんでした。

彼は自分の手伝い仕事の一つとして、夕食時になると食卓の用意をすることになっていましたので、
ゲラン氏の分も相変わらず置き続けました。
毎日その分は片付けられましたが、翌日になると、きまって彼はまた並べるのです

病状が悪化し、ゲラン氏は病没されました。
氏が亡くなった当日も、氏の食器が食卓に置かれました。

そうしたことが、ゲラン夫人にどれほど胸が張り裂ける思いをさせたか、{私には}手にとるように
わかります。

この悲痛な場面を目撃して、ヴィクトールは、その原因が自分にあることを悟りました。

自分のおこないがまずかったと考えただけなのか、
夫人の絶望の動機まで見抜いて自分のしたことがどれほど無駄で場ちがいものかを悟ったのか、
とにかく彼は自分から食器を片付け、悲しそうにそれを戸棚にしまい込み、
二度と再び並べはしませんでした。






ずっと使われない食器を出し続けていたけど、ゲランさんが死んだんだ。もういないんだ。

食器を使わないから不思議でしょうがなかったけど、やっと使われない意味が分かった。

そうだったんだ。もうゲランさんは食器を使わないんだ。ゲランさんの食器は出さなくていいんだ。






なんて可哀想なんだ。分かった瞬間、胸がドキッとして、バラバラだったピースが全部繋がったのだ。






「ねぇ、本当に可哀想でしょう。頭の中では分かってるのに、それが結びつかないんだよ。
でもある日突然何かの拍子にそれが結びついて分かるんだよ






私もそう思う。






きっとヴィクトールは葬式にも出たんだろう。
ゲランさんの死に顔も見たかもしれない。
だれかが一生懸命教えようと、事の子細を耳元で話したかもしれない。
それでも、毎日食器を準備する。






ところが、ある日、食器を使う人がゲランさんで、あの祭壇で死んでいた人で、
埋葬された人で、この食器を使う人が居ないとすべての事柄が結びついた。






私も、妻も過去の毎日の生活の中で、同じ様な事の繰り返しだったから、この一つのエピソードだけで
胸がつぶれる思いだ。






分かるかな-。分かんねーだろーなー。



【自閉症テレビ15】統合失調症と自閉症の謎1


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