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太鼓と少年 昭和43年 NHK [テレビ番組]

私が忘れられないテレビ番組がある。


「太鼓と少年」 昭和43年(1968) 11月22日(金) NHK


当時は確か夜7時からドキュメンタリー枠があって、新日本紀行などもこの枠で放映されていた。
未だテレビの規制も弱く「阿部サダ」のインタビューもこの時間帯だったと思う。
温暖化の今米処になったが、北海道は当時冷害に苦しみ、その苦しみもドキュメンタリーになった。




「太鼓と少年」に出てくるのは当時の私より年下の小学5年生ぐらいの男の子。



ちょっと見ただけでは普通の子供と変わらない。
特殊学級にいるのだが、勉強は良く出来る。そこが知恵遅れの子とは違う。
授業中もちっともこちら(教師)を見ない。
写真を撮ろうとして呼びかけても、全然カメラを見てくれない。


実は、赤ん坊の頃から呼びかけても親の顔を見てくれなかった。
そんな赤ん坊なのに、でんでん太鼓には反応して太鼓を目で追う。

目で追うので、目が見えない訳では無い。
ああ、目が見えるんだ。良かった。でも何かおかしい。

ナレーション:この子は「自閉症」と言われる障害でその障害は未だ謎に包まれている。

と、こんな作りで終わるドキュメンタリー番組。
自閉症を謎の障害として紹介していた。



このドキュメンタリーを、私の母、高校1年の姉、中学2年の姉と共に小学6年の私は見た。

「あははは、あははは、この子トールとソックリ!」
「ホントだ。トール君自閉症なんじゃ無いの!」
「面白いねーーー、トールと同じ様な子居るんだね」
「可笑しいよ!トール君と一緒だよ!」


私は強烈にこの画面に引きつけられた。
(知能が低い自閉症が居るなら、知能が高い自閉症も居るに違いない)

その後、誰にも語る事は無かったが、これは強い「信念」として私の脳に焼き付いた。


特に共感したのがカメラの方を見ないと言う話。
写真を撮る時の「こっちを見ろ」は確かに不思議でしょうが無かった。

「トール!トール」うるさく呼ぶから見ると、カメラを構えている。
「トール!トール」また見ると、未だカメラを構えている。
「トール!トール。こっちを見なさい」さっきと同じだ。一体何度見ればいいんだ。しつこいな。

「トール。なんで呼んでるのにこっち見ないの。」

私は何度もそちらを見ている。呼ばれる度にその回数分必ず見ている。
見ろと言われたからちゃんと見てる。
何がしたいんだ。

「まったく!この子は!写真撮るって言ってるのに全然こっちを見ないんだから」


着飾ってお出かけした先ではいつもこうだ。
横浜の外人墓地に行った時の事だから、4才の春じゃないかな。

それ以前の写真も幾つかあるが、業を煮やした母が、父の顔の向きを変え、
二人とも他所を向くと言う何ともクラシックな絵柄になっている写真もある。
その時は、
「お父さん、お父さん。しょうが無いからそっち向いて、そっち」
と指示していた事を覚えている。
それは、3才の終わりか4才になった頃の話だ。



改めて「太鼓と少年」が放映された時期を考えると、
さんざん母に虐められていた頃だったから、自分自身の存在について考えていたのだと思う。

存在と言えば、だれか「ちっぽけな存在」とか言ってたな。酒鬼薔薇聖徒だったかな。


いつもなら、おどけたりして家族の笑いを取る所だけど、そのテレビを見ていた時は相手にしなかった。


まあ、NHK教育テレビは手抜きの、特定グループの宣伝番組ばかり作っているけど
当時のNHKはまともな番組を真面目に作っていたんだ。

自閉症に視点を当てた初めての番組だと思われる。


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